八重歯と矯正治療について

八重歯とは
八重歯は、あごが小さく歯が大きく、生えるスペースが不足して、上の犬歯が歯列の外側に飛び出している状態を云います。
現代人は、食生活の変化で硬い食べ物を噛まなくなり、あごが小さくなってきたと云われています。

外国人にとって八重歯は
日本と外国では、文化の違いから八重歯に対する意識が違います。
日本では可愛いと映る八重歯は、西洋ではドラキュラ、オオカミ男などと嫌われています。
アメリカでは、大きな会社の社長や役員は、太っていると自分の身体も管理できない人に部下は管理できないとみなされます。
悪い歯並びについても、同様に自分を管理できないと捉えています。
欧米では、きれいな歯並びはステイタスであり、教養を表すものとして就職や結婚にも影響します。
来日した外国人がカルチャーショックを受けるのは、文化の違いもありますが“八重歯がドラキュラみたいで気持ちがわるい”でした。

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日本人にとって、まだ残っている可愛いと感じる八重歯は、外国人にとっては拒絶反応を示します。
中国でも、八重歯は虎の歯と呼ばれ幸福が逃げると人気がありません。
佐藤智恵著『外資系の流儀』清朝新書には、
「欧米人の中でも、特に歯並びにうるさいのはアメリカ人だ。採用面接でも、アメリカ人は無意識に候補者の歯を見る」と紹介しています。
外国留学やホームスティをする若者は増えていますが、欧米の美意識や価値観からみると、
日本人の歯並びに対する意識の低さは見逃せない問題でしょう。

 

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タレント、歌手、俳優の八重歯
若者の歯並びに対する意識は高まり、最近テレビや映画に出演するタレントや俳優でも八重歯の人は少なくなってきました。
外国人にとっては、八重歯のタレント、歌手、俳優がテレビに出演するのは考えられないと言います。
八重歯は、あどけなさ、子供っぽさが残る10代の若い女性にはチャームポイントになることがありますが、
成人女性の八重歯は都会的な洗練されたイメージがなく対人関係にも影響します。
八重歯のあるタレントや歌手は、デビュー後に歯並びを治しますが、実は年齢と関係があります、
八重歯があると大人の役が出来ないため、タレントや俳優は、ほとんど30歳前後に治しています。

若い人の八重歯は可愛いと映る訳
欧米の文化は、”対称の美“を尊重し、日本の文化は、”非対称の美“や”不完全さ“を重視しています。
これは、桃山時代から江戸時代にかけて、千利休などから始まった”完全でないものに美を求める“儒教の自然さを大切にする考え方に影響されています。
そのため、日本人の美意識は、左右対称より“どこか完全でないもの” か、
国際社会の美意識や価値観を尊重して矯正治療をするかは、本人や保護者の考え次第でしょう。
最近、“つけ八重歯”が、マスコミで話題になりました。
矯正歯科医の立場からみると、奇妙な現象です。
2011年10月23日のニューヨークタイムスには、日本のつけ八重歯は、“おかしなスマイル”と皮肉をこめて紹介されています。

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八重歯を治して、きれいな歯並びとスマイルに
八重歯のデメリットは、
1)ぶつかると唇が切れる
2)良く磨けないため重なっている場所に虫歯ができやすい
3)笑うと唇が引っかかり手で下げる
4)見た目がわるい
などです。

八重歯を矯正した人は、思いっきり歯を見せて笑えるようになったと喜んでいます。
これから国際人として活躍するためには、歯並びやスマイルに欧米の美意識、価値観を受け入れていかなければならないでしょう。

参考文献:日本臨床矯正歯科医会 神奈川支部

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永久歯の数が足りない子供が増えています

①データでは先天性欠如歯が増加

生まれながら、何らかの原因により28本の永久歯のうち、数本の歯が足りない(先天性欠如歯という)人がいます。
このような「永久歯先天性欠如歯」の子どもが、10人に1人いることが2010年11月、日本小児歯科学会の調査で分かりました。
先天性欠損歯は、かかりつけの歯科医や学校健診で指摘されるまで本人や保護者も気がつかないことが多いようです。
先天性欠如歯の有無は、生え変わる時期が過ぎても乳歯が残っていることがひとつの目安になります。
先天性欠如歯の疑いがある場合には、歯科医院でレントゲン撮影による確認をお勧めします。

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②先天性欠如歯の原因は
先天性欠如歯の原因は、家系の遺伝子以外に永久歯の歯胚(出来始めの歯)の発音を妨げるような
感染、薬剤、栄養障害、外傷などの環境的な要因が影響していると言われています。人類学者の藤田は、
永久歯数の減少は進化現象によるもので、顔は咀嚼器官の退化によって相対的に小さくなりつつある。
これに同調して、歯は小さくなり歯数の減少につながっていると述べています。人類の進化は、単純化、小型化、欠如へと進んでいるようです。
先天性欠如歯の前兆として乳児の乳前歯に癒合歯(2歯がくっついて1歯に)がある場合、
その下に生えてくる永久歯が欠如する率は約40%という報告があります。

<先天性欠如歯の目安は>
1)乳前歯に癒合歯がある
2)奥歯の乳臼歯がいつまでも残っている
3)両親のどちらかに先天性欠如歯がある
これらの場合には、先天性欠如歯の確率が高くなります。

③欠如が出現する場所は
欠如が出現する場所は、顔の中央から2番目に生える側切歯(前歯)と、
5番目に生える第2小臼歯(奥歯)で多く認められます。
7歳時でエックス線写真上において永久歯の歯胚が乳歯の根の下に確認されないと、約9割の確率で永久歯が欠如するとされています。
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④歯並びへの影響と矯正治療は
永久歯が欠如していると、空隙歯列(すきっ歯)になったり、
欠如している場所に隣の歯が倒れ込んで、本来咬み合う上(または下)の歯が延びてきたり、
咬み合わせが悪くなる可能性も高くなります。
そのため咬み合わせを治す矯正治療や、ブリッジやインプラントなどの人口の歯で欠如部分を補う治療が必要になります。
矯正治療により歯を移動させて、スペースの閉鎖が可能であれば、
歯の寿命を延ばし人工物を入れないという理想的な方法を考えられます。

<治療法としては>
1)矯正治療で欠如部のスペースを閉じる
2)矯正治療で倒れている歯を起こして欠如部のスペースを作り、治療を行う
※平成24年4月から6歯以上の先天性欠如歯を有する患者さんの矯正治療に保険適用が認められました。(指定医療機関において)

<乳歯を活かせる場合もある>
本来永久歯は、乳歯が脱落したその下から生えてきます。しかしその永久歯が欠損していると、
乳歯は脱落せず本人も乳歯とは気づかずに成人します。
そして30代、場合によっては40代、ごく稀に50代以上まで残ることもあります。
このような場合には、日々のブラッシングなどの予防対策が重要になります。

上の前間の間に、余分な歯が生える
1、余分な歯は過剰歯
乳歯から永久歯に生え変わり、上の前歯の間に1本余分な歯が生えてくることが稀にあります。
この余分な歯を、正中過剰歯(せいちゅうかじょうし)と言います。
過剰歯は、上の前歯の間に出現しやすく、大きさは小さくつぼみ状の形をしています。
過剰歯が顎の骨のなかに埋まっている場合には、上の前歯が約5㎜以上開く症状(正中離開という)があります。
しかし、正中離開は、上の中切歯の隣の側切歯(2番目の歯)が先天性欠如している場合にも起こるこがあります。
“過剰歯が骨の中に埋まっているか”“2番目の前歯が欠如しているか”は、歯科医院でレントゲンを撮影して確認する必要があります。

2、その原因と矯正治療は
過剰歯の原因は、母親のお腹の中で正常な歯以外に1~2本多く歯胚ができ、先天的な病気などが影響すると言われています。
過剰歯が、前歯の間に生えている場合には抜歯が必要です。なぜなら、早期の抜歯により隣の歯が移動して正中離開が自然に閉鎖する可能性があるからです。
過剰歯が顎の骨の中に埋伏している場合、抜歯は困難になるため、局所麻酔注射や抜歯手術に耐えられる年齢まで経過をみることがあります。
抜歯後、上の前歯の間に大きなスペースが残っている場合には、矯正治療が必要になります。

参考文献:日本臨床矯正歯科医会 神奈川支部

 


反対咬合について パート1

①反対咬合の具体的な症状
正しい歯並びでは、上下の前歯の位置関係は上の歯が前で下の歯が後ろに位置しています。
これとは反対に、上の前歯が後ろで下の前歯が前に咬んでいる歯並びを「反対咬合」といいます。
また「受け口」と呼ばれることもあります。
「反対咬合」には、ごく軽度から重度の症状のものもあり、全ての症状に同じような治療方法が適応できるとは限りません。
それでは簡単に反対咬合の症状を説明しましょう。

骨格性反対咬合
顎骨に原因がある反対咬合を「骨格性反対咬合」といいます。
つまり下あごが大きすぎることに伴って、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態で、
歯並びよりも顎骨が原因で反対咬合になっていると言えます。
「骨格性反対咬合」では、身長の伸びにより下あごが成長し治療期間が長くなる傾向があります。
さらに上下の顎骨のズレが重度であれば、成人になってから外科手術を行い、下あごを短くして咬み合わせの治療を行うことがあります。
左の二枚の写真は同じ患者さんです。左側が学童前期の横顔で、比較的正常なあごの形をしていますが、
右側の成長後の写真では下あごが前方に成長しているのが分かります。

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機能性反対咬合
「機能性反対咬合」とは、正しい下あごの位置で咬もうとすると、
上下の前歯が先に当たってしまい、奥歯が全く咬めない状態です。
奥歯を咬み合わせるためには、下あごを前に突き出し前歯が当たらないようにして咬むと奥歯が合います。
このように下あごを前に突き出して前歯が反対に咬む症状を、「機能性反対咬合」といいます。
「機能性反対咬合」では、わずかに前歯の位置がずれていることが原因です。
そのため顔つきは反対咬合特有の下あごが突き出た横顔ではないことが特徴です。
矯正治療に関しては、早期(幼稚園児から学童前期)に矯正治療を始めれば、比較的簡単に治ります。
しかし、「機能性反対咬合」でも、成長発育で下あごが大きくなることがあり、
「骨格性反対咬合」に移行してしまう場合がありますので下あごの成長の定期的な観察が必要です。

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②原因は?
原因は、複数考えられます。「骨格性反対咬合」の原因で考えられるのは遺伝です。
当然親子であれば顔が似ているように、顔や顎骨も同じような形態に育ってくることは多くあります。
「機能性反対咬合」の原因は、舌で下の前歯を押し出す癖が考えられます。
物を飲み込む時に、無意識的に舌で下の前歯を押し出す癖は、反対咬合の患者さんの全員といっていいほど認められます。
また扁桃腺が大きいことによって、この舌壁が引き起こされるという考えもあります。
つまり、舌の後ろにある扁桃腺が大きいと、舌が前方に押し出され、さらに舌の力により下の前歯が押し出されていると考えられています。

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③反対咬合は治した方がよいのでしょうか
反対咬合は、できれば早期(幼児園児から学童前期)に矯正治療を開始することをお勧めします。
それでは反対咬合の歯並びは、なぜ治療する必要があるのでしょうか。具体的に説明します。
反対咬合を治したいと考えている患者さんの多くは、反対咬合の歯並びに対してコンプレックスを感じています。
下あごの出ている顔つきを友達から指摘され、精神的に傷ついてしまう人や、下あごが大きいことを非常に気にしてしまう人もいます。
他の歯並びに比べると、反対咬合は本人のコンプレックスに繋がりやすいと推測されます。
また、反対咬合の本人が低年齢で本人が気にしていない場合でも、
思春期になり情緒が発達すると、急にコンプレックスに感じ始めることがあります。
そのため低年齢の時に治療すべきであったと後悔してしまう患者さんもいます。
将来の精神面を含め、下あごの成長発育を見据えて矯正治療をすべきかどうか考えましょう。
反対咬合は、飲み込む時や話をする際に、舌を前方に突き出す癖が習慣となります。
そのため、飲み込む時に舌で下の前歯を押し出したり、下あごを突き出す癖や、発音障害が出現します。
特に発音障害は、サ行タ行の発音が独特になり、将来の職業、例えば人前でスピーチをしたり、英会話などに影響を及ぼす恐れがあります。

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④反対咬合の矯正治療を開始する時期
反対咬合は、他の歯並びと違い、発音などの機能的な障害はもちろん、下あごの成長発育にも影響があると考えられます。
そのため早期(幼稚園児から学童前期)に治療を開始することが望ましいと考えられています。
しかし、矯正治療を開始する時期は、担当する矯正歯科医により若干の違いがあることがあります。
ここで一番大切なことは、治療の開始する時期を決定してもらうには、矯正治療を専門に開業している矯正歯科医に相談することです。

具体的な治療方法についてはパート2でお知らせいたします。

参考文献:日本臨床矯正歯科医会 神奈川支部


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