鼻やのどの病気と歯並び
口ポカーンは歯並びに影響することを知っていますか
- 矯正治療をさまたげる口呼吸
鼻やのどの病気があると、口を開けて息をします。
本来、鼻で息をするものですが、口を半開きにして息をしている状態を
“口呼吸”と呼んでいます。近年多くの人がわかるように、口呼吸を
“口ポカーン”と呼ばれています。“鼻がつまれば、口で息をすればよいと
いうわけではない“のです。
なぜならば、口呼吸は歯並びや顔の成長に悪い影響を与えるからです。
口呼吸を続けていると、唇を閉じて前歯を外側から抑える機能がなくなります。
その結果、舌で前歯を押し出すくせ(舌のくせ)が出て、前歯を前方へ移動し、
“出っ歯”や上下の前歯が噛み合わない“開咬”になりやすいのです。
その上口呼吸は、矯正治療の歯の動きをさまたげ、矯正治療後の歯並びの安定
にも影響するのです。
- 口呼吸の原因は、鼻やのどの病気
鼻やのどの病気などが、口呼吸の主な原因です。
- アデノイド(咽頭扁桃肥大)、口蓋扁桃の肥大
- 急性・慢性鼻炎、肥厚性鼻炎、アレルギー性鼻炎
- 鼻茸、副鼻腔炎その他、幼児期から指しゃぶりを小学生まで続けていると、口呼吸を引き起こすことがあります。
- “出っ歯”(上顎前突)や上下の前歯が咬み合わない“開咬”になり、
- 扁桃肥大の影響は
扁桃肥大の害は、次のような症状があります。
- 扁桃が大きすぎると、鼻呼吸をさまたげる(口呼吸になる)
- 扁桃に溶連菌という細菌による巣ができて、腎炎、心内膜炎、心筋炎、
- 掌嚢胞症(皮膚炎)などが起きる
- 睡眠時の呼吸状態が苦しそうな呼吸、いびきをかく、息をつまらせる
- 習慣性の口呼吸
鼻やのどの病気以外にあまり知られていないのですが、習慣で口を開けて息を
している人がいます。このような状態を“習慣性口呼吸”と呼んでいます。
習慣で口呼吸を続けていると“出っ歯(上顎前突)”、“開咬”や
“上下の前歯が前方に出ている”“上下顎前突”になりやすいのです。
前歯が出ている歯並びで、習慣性口呼吸が引き起こされている場合には、矯正治療
により歯並びが治ると口呼吸もなくなり、口も閉じられるようになります。
- 口呼吸をしていると舌は下方に下がる(低位舌)
たえず口を開けて息をする習慣がつくと、口の中で舌の位置が下がってしまいます。
普段呼吸をする時は、“舌は上あごにつく”、“唇を閉じて鼻で息をする”を
心がけて下さい。飲み物や食べ物をのみ込む時、舌先は上あごにつけてのどの奥に
送り込みます。
口を開けた状態で、舌の位置が下がった状態は、“低位舌”と呼ばれています。
日中や夜寝ている時、口呼吸をして“低位舌”になると、口の周りや
顔の筋肉(表情筋)がゆるみます。口呼吸により絶えず口を開けている状態は、
他人からは“口もとがだらしなく”見えるのです。子どもの成長期に口呼吸が
続くと、歯並びや顔やあごの発育にわるい影響を与えます。
成人で“低位舌”になると、舌で前歯を押して出っ歯や前歯の間に間隙のある歯並び
(空隙歯列)になります。舌の訓練は、認知症の予防のためにも良いと言われています。
近年、歯科医や医師により、“よく噛むこと”と“舌の訓練”が健康に大事だと
言われています。
- 鼻やのどの病気で口呼吸をしていると、次のような症状になりやすいのです。
✿歯並び・・・上下の歯列が狭くなる
✿舌の位置・・・低位舌になる。のみこみ方や発音がおかしくなる
睡眠時無呼吸(アデノイドや口蓋扁桃肥大)
✿顔の成長・・・間が抜けたような長い顔“アデノイド顔貌”になる
✿矯正治療・・・治療期間が長くなる。治療後の安定がわるい
✿その他・・・唇がカサカサになる。唾液が出にくい。口を開けていると外見がわるい
- 鼻やのどの病気がある場合は、どうしたら良いか?
①耳鼻咽喉科医に相談する
“鼻がつまる”、“口を開けて息をする”、“いびきをかく”、“息をすする時に鼻をならす”
などの症状がみられます。このような症状は、鼻アレルギーや扁桃肥大(アデノイドや
口蓋扁桃肥大)、副鼻腔炎などの鼻やのどの病気で起きます。
②扁桃が小さくなる年齢まで待つ
③熱が出た時に薬をのむ
④手術をする
アデノイドは、子どもにとって健康上大きな問題ですので、耳鼻咽喉科医や私たち
矯正科医の意見を参考にして下さい。
参考文献:日本臨床矯正歯科医会 神奈川支部発行