歯の矯正治療を始める時期
よくお受けするご質問に、「歯の矯正治療はいつ頃から始めればいいのでしょうか?」があります。
そのお答えは、「歯の生え変わりの状態や症状により最適な時期は異なります」ということになります。
もしお子様が小学生であれば、一度同級生のお口の中を見せてもらってください。
同じ年齢でも歯の生え変わりに随分差があるのがお分かりいただけると思います。症状についても様々なものがあります。
歯並びに関するものとして「歯のでこぼこ(乱ぐい歯)」や「八重歯」は代表的です。
また咬み合わせが悪い例として「受け口(反対咬合)」、「出っ歯」、「上下の前歯が合わさらない(開咬)」といったものがあります。
このように多くの症状があり、その程度も異なりますから「何歳から始めたほうがいい」とは一概に言えません。
患者さんにより適切な時期がありますので、一度矯正歯科の専門開業医にご相談されることをお勧めします。
以下は「早期治療」といって比較的早い時期から矯正治療を始めたほうがいい症状や、治療法についてご説明します。
早期治療とは?
「早期治療」は、すべて乳歯の時期の4歳くらいから、乳歯と永久歯が混じり合う時期の9歳くらいまでの間に、歯列や顎(あご)の成長を見ながら、咬み合わせや顎の大きさ、形などの改善を行うものです。永久歯が生えそろう前の時期は顎が一番成長する時期で、その成長を利用しながら行う治療です。歯列や顎の成長をある程度コントロールすることが可能となります。また早期治療だけで十分な治療効果が得られることもあります。また逆にこの時期に歯並びや咬み合わせが悪くそれを放置すると、さらに症状が悪化する場合が多く見受けられます。
早期治療だけでは解決できない場合も?
しかし治療の効果には個人差があり、早期治療だけでは十分な結果が得られないこともあります。その場合は仕上げの「本格治療」が必要となります。
この治療は、顎の骨の成長の度合いがある程度予測できた頃、具体的には乳歯が抜けて永久歯がほぼ生えそろった時期に始めます。
これは、「マルチブラケット法」といって、歯の1本1本にブラケット(部品)を貼り付け、ワイヤーを通して永久歯全体の歯並びや咬み合わせを治療していきます。
また早期治療を行ったことで、この「本格治療」があまり複雑にならなく、治療期間も短くて済むことがあります。
早期治療の中でも、特に早めの治療が必要な症状とは?
顎の成長に問題を起こす(顔立ちに影響する)症状は早めの治療が必要となります。
以下が代表的な例となります。開咬(かいこう):奥歯は咬んでいるが、前歯が合わさらない状態
反対咬合:上下の前歯が逆に咬んでいて、受け口の状態
交又咬合:奥歯が横にずれていて、顔が曲がっている状態
外傷性咬合:下の前歯が押し出され、1〜2本の歯がぐらぐらする状態
早期治療に使う矯正器具は大変ですか?どのようなものですか?
低学年のお子様に使用する器具ですから、簡単で誰にでも使いやすいものでなくてはなりません。
経験豊から矯正歯科の先生に相談すれば、年齢や症状に合わせて選んでくれますので心配ありません。さて、この早期治療に使われる器具は数多くあります。
大きく分けると2種類あり、①口の中だけにつける器具と、②顔や頭につける器具です。それぞれ自分で取りはずせるものと、そうでないものがあります。
詳しくは矯正歯科の専門開業医にご相談ください
参考文献:日本臨床矯正歯科医会 神奈川支部